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2021年5月第3週朝活論文紹介

当研究室では毎週月〜木曜日の朝9:00-10:00は,研究室のメンバーで集まって英語の論文を読んで紹介するというイベントを行っています.

今週の朝活では,CHIIR2021,CHI2021から下記論文を紹介しました.

  • Investigating the Influence of Ads on User Search Performance, Behaviour, and Experience during Information Seeking (from CHIIR2021)
  • Firefox Voice: An Open and Extensible Voice Assistant Built Upon the Web (from CHI 2021)
  • ArgueTutor: An Adaptive Dialog-Based Learning System for Argumentation Skills (from CHI 2021)
  • AI as Social Glue: Uncovering the Roles of Deep Generative AI during Social Music Composition (from CHI 2021)

Investigating the Influence of Ads on User Search Performance, Behaviour, and Experience during Information Seeking (from CHIIR2021)

書誌情報

Olivia Foulds, Leif Azzopardi, Martin Halvey: Investigating the Influence of Ads on User Search Performance, Behaviour, and Experience during Information Seeking. CHIIR’21: Proceedings of the 2021 Conference on Human Information Interaction and Retrieval, Pages 107–117, 2021.

140字概要

バナー広告などの広告が利用者のウェブ検索パフォーマンスに与える影響を調査した.広告を表示する場合と表示しない場合で実験を行い,検索行動や検索体験を調査した.実験の結果,広告なしの場合は,利用者のフラストレーションは相対的に低く,実験後により多くの内容を思い返すことができた.

まとめスライド

Investigating the Influence of Ads on User Search Performance, Behaviour, and Experience during Information Seekingの画像

感想
  • 広告の負の側面は,利用者のプライバシーだけでなくウェブ検索における検索行動にも影響する可能性があることが示された.論文内でも言及されていたが,広告には悪い面のみではなく良い側面もあるので,利用者が使用する文脈によって選択的にウェブ検索に用いるインタフェースを変えられる仕組みがあると良いと思った.
  • インターネットのバナー広告はインターネットの発展にとても貢献してきたが,ユーザの検索体験に負の影響が大きいことは確かに感じていた.今後,ユーザの検索体験に影響しないかつ広告効果の大きい広告が必要だと感じた.テンセント等が力を入れているような,動画内に出てくる商品や建物についている広告をスポンサーのものに自然に合成する技術などはその代表だと考えられる.
  • ウェブ検索行動中に,いくら広告を無視しようとしてもバナー広告の影響は受けてしまうことが明らかになっている.結果の分析は広告あり・なし群に分けて分析を行なっているが,広告の種類やユーザの興味などを要因に加えた結果も見てみたい.
  • It is important to see the problem from different points of view, this paper chose the direction of user’s performance towards ads different from previous researches which studied the ads from the view of optimizing ads.

Firefox Voice: An Open and Extensible Voice Assistant Built Upon the Web (from CHI ’21)

書誌情報

Julia Cambre, Alex C. Williams, Afsaneh Razi, Ian Bicking, Abraham Wallin, Janice Tsai, Chinmay Kulkarni, and Jofsh Kaye. Firefox Voice: An Open and Extensible Voice Assistant Built Upon the Web. In CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI ’21). 18 pages. May 8–13, 2021.

140字概要

実装に利用でき、特定のサイトに限らないWeb検索を可能にする音声アシスタントFirefox Voiceを開発し、リリースした。音声認識で対応できるページを増やすことができた。音声認識に多少の課題があるものの、ウェブ検索やページ内検索など幅広い場面で使われるようになった。

まとめスライド

image.png (158.1 kB)

感想
  • オープンソースで、制限の緩い音声認識開発プラットフォームを実現したというのが大きい貢献だろう。これまでの企業系の開発とは異なり、コミュニティ次第で自由に拡張できるため、よりユーザに使いやすい機能を実装しやすい環境になっていると思われる。今後の発展に期待したい。(森泉)
  • 入力方法は新しいものが出ている(音声認識)が、新しいものが良いわけではなく、慣れ親しんだ入力方法から移行する難しさがあることがわかった。また、それぞの入力方法(キーボード、音声など)の特徴や利点を棲み分けて、利用場面を考える必要があると感じた。

ArgueTutor: An Adaptive Dialog-Based Learning System for Argumentation Skills (from CHI ’21)

書誌情報

Thiemo Wambsganss, Tobias Kueng, Matthias Soellner, Jan Marco Leimeister: CHI ‘21: Proceedings of the 2021 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems Pages 1–13 Article No.: 683 May 2021

140字概要

学習において、与えられた情報を適切に解釈して論じる能力は重要である。そうした教育を施すためには、個人に応じて継続的にフィードバックを施すようなスタイルが適切である。ArgueTutorはそれを実現するbot形式の作文の論理的思考水準評価ツールであり、これによって作文の論理性が向上することが実験で明らかになった。

まとめスライド(1枚のpngファイル)

ArgueTutor_ An Adaptive Dialog-Based Learning System for Argumentation Skills (1).png (173.1 kB)

感想
  • 文章の推敲には未だに人と人との往復が生じることが常であり、効率よくその能力を高めることには障壁があると感じる。そのためこうしたツールによる学習は、一定の水準でのフィードバックが得られるため有効であると感じた(中野)
  • フィードバックは「機械」が算出したものであるため,受け取る側のユーザが納得できるようにするためにも,フィードバックの説明可能性を向上させることが重要であり,必要なことであると感じた.
  • 個々人の能力に応じてフィードバックが与えられるため、効果的に学習が進められると感じた。一方で、被験者からはフィードバックの仕組みについて詳細な説明を求める声があり、説得力のある説明をすることが大切だと思った。

AI as Social Glue: Uncovering the Roles of Deep Generative AI during Social Music Composition (from CHI 2021)

書誌情報

Minhyang (Mia) Suh, Emily Youngblom, Michael Terry, and Carrie J. Cai.2021. AI as Social Glue: Uncovering the Roles of Deep Generative AI during Social Music Composition. In CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI ’21), May 8–13, 2021,Yokohama, Japan. ACM, New York,NY, USA, 11 pages.

140字概要

人間同士のクリエイティブな共同作業において、AIがどのような役割(コミュニケーション面、作業面)を果たすか、音楽エディタを用いた作曲作業からインタビュー調査した。別視点からの提案や議論のきっかけを作ることができるが、役割分担が曖昧になる、創造性の制限になるなどのデメリットがある。

まとめスライド

スクリーンショット 2021-05-19 9.58.07.png (491.8 kB)

感想
  • 共同作業を行う上で、何もない状態から行うよりも、ある程度最初は制約があった方がやりやすい。AIがその役割を担うことが分かり、技術的な面以外で人間の作業を効率化できる部分は、気づかなかった視点だと思った。
  • 今回の調査がインタビューで行われたものだったので,AIがクリエイティブな共同作業においてどのような役割を果たすのか定量的に表すことができる調査を行うとより興味深い発見ができるのではないかと思った.
  • 人間間のサポートをするというAIの使い方は、AIが制作物に直接的に関与する部分が少なく、人間の創造性を退化させないという面で良いと思った。人間同士の意見が対立した時、妥協点・中間案をAIが生成したが、それは芸術的にありなのか疑問を感じた。