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2021年5月第4週朝活論文紹介

当研究室では毎週月〜木曜日の朝9:00-10:00は,研究室のメンバーで集まって英語の論文を読んで紹介するというイベントを行っています.

今週の朝活では,CHI2021, CHI2016, CSCW2010より下記論文を紹介しました.

  • Can a Humorous Conversational Agent Enhance Learning Experience and Outcomes?(CHI 2021)
  • U!Scientist: Designing for People-Powered Research in Museums (CHI 2021)
  • WearWrite: Crowd-Assisted Writing from Smartwatches (CHI 2016)
  • Understanding Together: Sensemaking in Collaborative Information Seeking (CSCW 2010)

Can a Humorous Conversational Agent Enhance Learning Experience and Outcomes? (CHI 2021)

書誌情報

Jessy Ceha, Ken Jen Lee, Elizabeth Nilsen, Joslin Goh, Edith Law: Can a Humorous Conversational Agent Enhance Learning Experience and Outcomes?. (CHI’21), Yokohama, Japan. ACM, New York, NY, USA, Pages 1-14, Article No.685, 2021.

140字概要

ユーモアは対象への関心を高める効果があるが,学習時にユーモアを用いることは好ましくないと考えられていた.本研究では,学習時にジョークを話す教育用対話エージェントを提案した.実験の結果,ユーモアは学習中の関心を促したほか,ユーモアの種類によって,対象への興味などの向上に異なる効果があることが明らかになった.

まとめスライド

Can a Humorous Conversational Agent Enhance Learning Experience and Outcomes (2).png (195.1 kB)

感想
  • 学習に注意が向いていないときに、それを促してくれる存在は重要であると思うので、ユーモアの効果を調査したという点で意義のある研究だと感じた。しかし例示のアメリカンジョークは私にはよくわからなかった。
  • ユーモアは人によって解釈が分かれたり,定義するのが難しかったりするので,ユーモアの種類(affiliative・self defeating)に着目し,それぞれのユーモアがどういう理由で学習に貢献するのかを明らかにしたことが興味深かった.この知見を応用すれば,本研究で扱った対話エージェントだけではなく,教材を作るにも活かせそう.

U!Scientist: Designing for People-Powered Research in Museums (CHI 2021)

書誌情報

Mmachi God’sglory Obiorah, James K.L. Hammerman, Becky Rother, Will Granger, Haley Margaret West, Michael Horn, Laura Trouille: .CHI ’21, May 8–13, 2021, Yokohama, Japan 2021 Association for Computing Machinery. May 2021 Article No.: 675 Pages 1–14.

140字概要

より多くの人が研究について触れる機会を作るために、オンライン上の研究プロジェクトの星分類タスクを搭載したディスプレイ「U!Scientist」を博物館に導入した。関連知識を記載したり、関心を持ちやすいUIを体験することで、訪問者は参加しやすく研究に貢献していることを実感できた。

まとめスライド

スクリーンショット 2021-05-26 10.01.23.png (860.1 kB)

感想
  • リアルな研究に触れて、若いころから科学に興味を持つ機会が多く与えられれば、成長してから拒絶感を持ちにくくなりそうだし、日本の女子の理系選択者が少ない問題も改善できそうだと思った。
  • UIは大変興味をそそられるものであったので、これが地元の科学館にあっても何ら違和感なく、タスクに興じるだろう。科学館で小さい子供がいつまでも同じ展示に興味を持っているように、こういった展示には、小さい子供のほうが興味を惹かれる傾向があると思うので、その点を考慮して設計できればさらによくなっただろう。研究に最も貢献するのは子供になるかもしれない。
  • It is important and helpful to simplify complicated tasks for beginners.
  • この展示によって訪問者が参加しやすくなるだけでなく、研究に貢献したと実感できた部分が興味深いと思った。単純に面白いから参加するよりも、科学そのものに対してポジティブな感情を持ちやすくなり、今後の学習に繋がりやすいと感じる。

WearWrite: Crowd-Assisted Writing from Smartwatches (CHI 2016)

書誌情報

Michael Nebeling, Alexandra To, Anhong Guo, Adrian A. de Freitas, Jaime Teevan, Steven P. Dow, Jeffrey P. Bigham: WearWrite: Crowd-Assisted Writing from Smartwatches. Proceedings of the 2016 CHI Conference on Human Factors in Computing SystemsMay pp.3834–3846 (2016)

140字概要

スマートウォッチをクラウドワーカとのコミュニケーション媒体として使用し文書の作成を行えるようにした.システムのおかげで1日中どこでも思いついた文章を作成できるため生産性は向上したが,複数の編集を確認する場合などではスマートウォッチでは難しいという感想が得られた.

まとめスライド

WearWrite_ Crowd-Assisted Writing from Smartwatches (1).png (217.5 kB)

感想
  • Wizard of OZ 法のような実装方法だと感じた.現時点でのスマートウォッチで可能な範囲で複雑なタスクを行う試みであったが,作業の核となる部分を切り離し,その対象とのコミュニケーションの媒体としてスマートウォッチを利用するというアプローチは,文書作成に限らず応用できると感じた.クラウドワーカーが行っていた部分をどうシステム化するかが難しいと感じた.
  • スマートウォッチの生産性を向上させるために,スマートウォッチ単体の機能を向上させようとするのではなく,クラウドワーカーとの連絡手段として利用するという発想は斬新だと感じた.
  • スマートウォッチの持っている特性と文書生成に必要な要素,クラウドワークにより可能なタスクをうまく組み合わせていて目的を達成可能にしていうところが面白い.すぐにAIによって自動化することを考えがちだが,クラウドワークなどを使うことでさまざまな情報処理ができるという視点は参考にしたい.

Understanding Together: Sensemaking in Collaborative Information Seeking (CSCW 2010)

書誌情報

Sharoda A. Paul, Madhu C.Reddy: Understanding Together: Sensemaking in Collaborative Information Seeking: CSCW ‘10: Proceedings of the 2010 ACM conference on Computer supported cooperative work, 321-330, February 2010.

140字概要

協調的情報探索活動の中で,協調的センスメイキングがいつどのように行われているのかを医療現場にて調査した.協調的センスメイキングは,情報が曖昧である時や情報を知る権限がない時,専門知識がない時に発生していた. また,共有すべき情報に優先順位をつけることやセンスメイキングの過程・全体像を認識することが重要だとわかった.

まとめスライド

Screen Shot 2021-05-27 at 0.28.35.png (524.1 kB)

感想
  • 論文にあるように,普段の生活においてもセンスメイキングまでの過程(タイムライン)を記すことは,後から振り返る際に有用な情報となると感じる.社内ドキュメントなどにおいても,決定事項のみではなく,過程の記述をサポートする機能などがあると良い.
  • 協調的情報探索をする際に,今まで無意識に行っていたことを意識的に行えるが分かり,それを可視化できると,より良い情報が探索できるし,初心者やグループに参加してすぐの人でもよりスムーズに欲しい情報が取得できると思う.
  • プロセスを可視化することは,協調的情報探索や個人での情報探索での役立つと感じた.協調的情報探索のように,複数人で行う場合などは,相手に伝える必要のあること/ないこと,正確に伝わるようにプロセスを記すことが重要であると考える.