信憑性指向のウェブ検索を支援するために,新しいタイプのクエリ推薦手法 Dispute Suggestionを提案・開発した.提案システムはユーザからクエリが入力されると,クエリに関するセンテンスのうち,ウェブ上で反証されているセンテンスをリアルタイムに抽出・収集する.その後,収集された被反証センテンスのウェブ上における典型度,およびクエリとの関連度を計算する.最終的に,提案システムは典型度および関連度が高い反証センテンスの上位N件を,検索中のユーザに提示する.
既存のクエリ推薦手法は,ユーザの検索意図に合致するウェブページの検索を効率化することに焦点が当てられている.それゆえ,ユーザが特定の意見・記述の信憑性を検証するためにウェブ検索を行う場合,既存のクエリ推薦手法によって提示されたキーワードが,信憑性判断の手がかりを探すために役に立つとは限らない.また,たとえ検索中のウェブ情報の中に信憑性が疑わしいものが存在しても,ユーザが情報の信憑性についてあまり注意を払っていなければ,それに気付くことは難しい.本稿で提案する反証センテンス手法により,信憑性が疑われるセンテンスへユーザの注意を喚起すること,信憑性を意識しながらウェブ検索を行うことが可能となる.
発表資料
参考文献
- 山本祐輔, 嶋田 敏:「検索トピックに対する反証示唆がウェブ検索ユーザの情報精査態度に与える影響」, 人工知能学会論文誌, Vol.32, No.1, pp.1-12, January 2017.
- Yusuke Yamamoto and Satoshi Shimada: “Can Disputed Topic Suggestion Enhance User Consideration of Information Credibility in Web Search?”, Proceedings of the 27th ACM Conference on Hypertext and Social Media (HT 2016), pp.169-177, Halifax, Canada, July 2016 (Full Paper 16/76 = 21%).
- 山本祐輔, 田中 克己:「反証センテンスの提示による信憑性指向のウェブ検索支援」, 情報処理学会論文誌: データベース (TOD57), Vol.6, No.2, pp.42-50, March 2013.
- Yusuke Yamamoto: “Disputed Sentence Suggestion towards Credibility-Oriented Web Search”, Proceedings of the 14th Asia-Pacific Web Conference (APWeb 2012), pp.34-45, Kunming, China, April 2012 (Full Paper 40/167 = 24%) (Best Paper Award First Runner-up).