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2021年7月第3週朝活論文紹介

当研究室では毎週月〜木曜日の朝9:00-10:00は,研究室のメンバーで集まって英語の論文を読んで紹介するというイベントを行っています.

今週の朝活では,下記論文を紹介しました.

  • Design of a Trivia Game for Traveling and Domestic Enjoyment in Japan (from IMCOM 2017)
  • Send Me a Different Message: Utilizing Cognitive Space to Create Engaging Message Triggers (from CSCW 2017)
  • Automatic Story Generation: A Survey of Approaches (from ACM Computing Surveys)

Design of a Trivia Game for Traveling and Domestic Enjoyment in Japan (from IMCOM ’17)

書誌情報

Doi, Syunya, et al. “Design of a trivia game for traveling and domestic enjoyment in Japan.” Proceedings of the 11th International Conference on Ubiquitous Information Management and Communication, pp.1-6, 2017.

140字概要

観光での情報獲得を目的とした郷土料理に関するトリビアゲームを提案する。 ガイドブックに出現する名称とwikipediaのカテゴリ情報を組み合わせてクイズの選択肢を生成した。 クイズ形式を導入することで、ユーザは楽しみながら効率的に全国の観光情報を得ることができる。

まとめスライド

Design of a Trivia Game for Traveling and Domestic Enjoyment in Japan (1).png (230.9 kB)

感想
  • 今回は郷土料理に関するトリビアゲームなので、食べログなどの地域のリアルな口コミ情報を組み合わせれば、クイズ形式による知識獲得だけでなくクイズに面白い要素が入るため、より楽しんで観光情報を知ることができるのはないかと思った。
  • I think it is a good idea to stimulate people’s interests towards a tourist spot through food( almost everyone is interested in food).
  • 知らない観光地の情報を得るとき、何から知ったらいいかわからないことがよくある。観光に限らず、少しずつ情報を広げていくことができるゲーム方式は、初学者にとって知識を取り込みやすい方法だと思った。
  • 観光地などのアピールを行うときに,クイズなどのエンターテインメント性を利用することは効果的であると考えた.本論文で扱われたクイズの生成方法は,食品以外の広い範囲のカテゴリでも利用できるので,地域ごとの最適な情報を集められると感じた.本論文の発展として,この手法によって作成された情報提示法が,ユーザにどのように受け入れられているのかについてユーザ実験を行うことによって,問題点を明らかにする必要があると考えた.
  • 今回の論文では,クイズ・トリビアゲームがどの程度観光客の役に立ったのか明らかにされていなかったため残念だった.また,Wikipediaとガイドブック以外からでもユーザの志向に合わせたクイズ・トリビアを完全に自動生成できるとより使いやすいと思った.

Send Me a Different Message: Utilizing Cognitive Space to Create Engaging Message Triggers (from CSCW 2017)

書誌情報

Rafal Kocielnik and Gary Hsieh. 2017. Send Me a Different Message: Utilizing Cognitive Space to Create Engaging Message Triggers. In Proceedings of the 2017 ACM Conference on Computer Supported Cooperative Work and Social Computing (CSCW ‘17). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, pp.2193–2207.

140字概要

メッセージ内容を多様化することで,エンゲージメント低下などの問題を軽減できることが示唆されている.しかし,その多様化手法を体系的に導入する方法は提案されていない.本研究では人々の行動を促し,煩わしさを軽減させるために,多様性を高める戦略を用いてメッセージを生成し,その効果を検証した.結果,メッセージの多様性を高めることは,ユーザのメッセージに対する煩わしさを軽減させたり,ユーザの行動変容を促したりすることができた.

まとめスライド(1枚のpngファイル)

Send Me a Different Message_ Utilizing Cognitive Space to Create Engaging Message Triggers (1).png (173.5 kB)

感想
  • メッセージの多様性がもたらす効果の仮説については十分に立証されていない印象をうけたが、その結果はこの効果をWebサービスなどに導入することの動機となりうるものであったと感じた.
  • 今回の実験では,実験期間を2週間に設定していたが,1ヶ月などより長期間になった際に,多様性のあるメッセージでも慣れてしまう可能性もあると感じた.メッセージの数を増やす方法も考えられるが,多様性が高くなるようにメッセージの数を増やしつつ,各言葉のエンゲージメントを維持するのは難しそうだと感じた.
  • 実験1では良い結果であったが,実験2のように長期で実践的なアプリになると定量的な効果があまり見られなかったことから,長期的なエンゲージメントの維持には多様な言葉よりも,単純な言葉を伝えられたほうがいいのではと感じた.
  • 実際のサービスに適用してエンゲージメント率がより長期で伸びるかどうか検証してほしい.

Automatic Story Generation: A Survey of Approaches (from ACM Computing Surveys)

書誌情報

ARWA I. ALHUSSAIN, AQIL M. AZMI,: Automatic Story Generation: A Survey of Approaches. ACM Computing Surveys. 54, 5, Article 103 (May 2021), 38 pages.

140字概要

物語の自動生成の包括的なガイドとなるように,物語ジェネレータのモデル,システムやモデルの評価指標,物語の面白さの要因についてまとめ,議論した.物語ジェネレータは3つのモデルに分けられることがわかり,また面白さの要因は一貫性と因果性が最重要だと考えられる.

まとめスライド

image.png (321.5 kB)

感想
  • 物語の生成方法について、あまり知見がなかったが、今回の論文で複数種類の生成方法を知ることができた。今後の課題として、ストーリーの意味的な解釈ができるモデルをどのように設計していくかというものが挙げられる。
  • 物語ジェネレータの現状の研究がまとめられた教科書的な論文だと思った.ただ,やはり人間の主観的な部分,例えば面白さの評価や,登場人物の感情などをモデル化するのは大変だと改めて感じた.
  • 物語生成自体が難しい分野ではあるものの、モデルは3種類に単純化できる。機械学習関連の研究の進展に伴って、物語の整理方法が誕生し進化した結果、新しい物語生成に対する捉え方、すなわちモデルが生まれているように見える。3つの中では構造モデルが一番わかりやすく、一般への利用も進んでいるように見受けられる。機械学習技術がより浸透すれば、他のモデルの利用も盛んになるだろう。
  • 物語生成は才能がある作家しかできないと思っていたが,ある程度の理論や生成するためのシステムが存在しており,さらにその分野は割と知見が多いことに驚いた.面白さの要素である一貫性や因果性は一定だが,不確実性は時代や読者とともに変化するため,完全に自動生成するのは難しそうだと感じた.