Slow Informatics Laboratory Get in Touch

Get In Touch

当研究室への配属を希望される方,研究プロジェクトにご関心のある方,共同研究をご希望の方は,下記フォームよりお問い合わせください.

2021年7月第2週朝活論文紹介

当研究室では毎週月〜木曜日の朝9:00-10:00は,研究室のメンバーで集まって英語の論文を読んで紹介するというイベントを行っています.

今週の朝活では,下記論文を紹介しました.

  • Crowd-Designed Motivation: Motivational Messages for Exercise Adherence Based on Behavior Change Theory (from CHI 2016)
  • Learning by Example: training users with high-quality query suggestions (from SIGIR 2015)
  • Interplay of Documents’ Readability, Comprehension and Consumer Health Search Performance Across Query Terminology(from CHIIR 2019)

Crowd-Designed Motivation: Motivational Messages for Exercise Adherence Based on Behavior Change Theory (from CHI 2016)

書誌情報

Roelof A.J. de Vries, Khiet P. Truong, Sigrid Kwint, Constance H.C. Drossaert, and Vanessa Evers. 2016. Crowd-Designed Motivation: Motivational Messages for Exercise Adherence Based on Behavior Change Theory. Proceedings of the 2016 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems. Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, pp.297–308.

140字概要

人々の運動におけるモチベーションを高める設計を行うため,行動変容理論とメッセージの関係を明らかにした.TTMモデルの各段階に応じた個別の最適な文章は存在せず,文章がモチベーションを上げることと,その文章がTTMのどの段階を指向するかは本研究の状況設定と無関係であった.そのため具体的な状況設定を研究する必要がある.

まとめスライド

Screen Shot 2021-07-08 at 10.13.07.png (614.2 kB)

感想
  • TTMという理論を研究している人にとっては,現代的なアプローチへの応用の難しさを指摘したという点で先駆的な研究なのかと感じた.
  • TTMの後期段階ほどメッセージによってモチベーションが上がったことから,もともと何らかの行動を起こしている人ではないと何らかの動機づけによって行動変容を起こすのは難しいと感じた.
  • モチベーションを向上させるためには,論文でも言及されているが個人を考慮するほか,外的要因に関しても考慮する必要があると感じた.
  • 行動変容を促す動機づけメッセージは,運動アプリのみならず,継続的に使うアプリなど幅広く応用できると思う.Nike Run+は,ランニング後にランナーを褒めるようなセリフが流れるが,そういった場面にフィットするはず.

Learning by Example: Training Users with High-Quality Query Suggestions (from SIGIR 2015)

書誌情報

Morgan Harvey,Claudia Hauff,David Elsweiler,SIGIR ‘15: Proceedings of the 38th International ACM SIGIR Conference on Research and Development in Information Retrieval, August 2015 Pages 133–142, https://doi.org/10.1145/2766462.2767731

140字概要

ユーザにとって、必要な情報に対して適切なクエリを作成することは難易度が高い。そこで、品質の高いクエリを提示するUIによって、ユーザのクエリ作成の学習をどの程度支援できるか調査した。結果、提案ありのトレーニングは良いクエリを作成するための学習に効果的であり、少ないトレーニングでも十分な効果を発揮した。

まとめスライド

Learning by Example_ training users with high-quality query suggestions.png (124.7 kB)

感想
  • 品質の高いクエリを生成するのではなく、そのようなクエリを提示することでユーザがクエリの作り方を学ぶこの研究の方が、今後のウェブ検索を向上させる上でよりユーザのためになると感じた。
  • This paper verified the value of training users to generate appropriate queries by showing them good query examples, peole can learn skills well through imitating.
  • このアイデアは今すぐ使えるものなので良いと思ったが,実際には例を見ることすら面倒だと感じる人も多いのではないかとも思った.
  • 関連する文書を多く得られるクエリと,ユーザが求めている情報を得られるクエリは異なる可能性もある.知識獲得の初歩段階とある程度進んだ段階でも理想となるクエリは異なると考える.それらの違いをどのように判断するかについて取り組むことができるのではないかと考えた.
  • 結果のグラフを見て、作成クエリに対して評価があることで、検索結果はもちろん、検索行動に対するモチベーション維持もなされているかもしれないと思った。(表示なしUIのグループはタスクによる疲労でパフォーマンスが落ちていた。)

Interplay of Documents’ Readability, Comprehension and Consumer Health Search Performance Across Query Terminology (from CHIIR 2019)

書誌情報

Carla Teixeira Lopes, Cristina Ribeiro: Interplay of Documents’ Readability, Comprehension and Consumer Health Search Performance Across Query Terminology. ACM SIGIR Conference on Human Information Interaction and Retrieval (CHIIR’19), pp193-201, March 2019.

140字概要

医学情報などの専門性の高い内容は,検索結果の文章を理解するのが難しいことがある.本研究では,検索結果の可読性・ユーザの理解度が,検索体験にどう影響を与えるのかを調査した.結果,可読性はユーザの理解度に大きく影響し,検索体験はユーザの理解度に大きく依存することが明らかになった.

まとめスライド

スクリーンショット 2021-07-08 10.20.29.png (470.8 kB)

感想
  • 一般的な質問において、完璧に理解した文書よりも、部分的に理解した文書の方が読みやすいというのは意外な結果であった。直感的には、読みやすい文書の方が理解しやすい傾向にあると考えられる。この意外な関係性は検索エンジンの新しい評価指標として役に立つのではないかと考えられる。
  • 検索のアルゴリズムに文章の読みやすさを考慮することで,ユーザの検索体験を向上させるという考え方は新しくて面白いと思った.しかし,これはユーザの読解力やそのトピックへの既存知識,検索スキルによって体験は変わるので実装には工夫が必要だと感じた.
  • 文章の理解度と、読みやすさの関係について直感に反する結果が得られたのは驚きだ。読みづらい文章だと、本当に理解できない部分があることをうまく把握できずになんとなくわかった気になってしまうのに対し、読みやすい文章だと明確に理解できないない部分が把握できる、といったような現象が起きているのではないか。
  • 検索結果のランキングを作る際に,どういう観点が重要なのかは,調べる内容に依存することがわかった.アクセス数や信憑性だけではなく,文章の読みやすさや自分が普段使う言葉かどうか,理解力など調べる内容やユーザの検索能力に合わせて検索アルゴリズムを変化させるのも面白いと思った.