Slow Informatics Laboratory Get in Touch

Get In Touch

当研究室への配属を希望される方,研究プロジェクトにご関心のある方,共同研究をご希望の方は,下記フォームよりお問い合わせください.

2021年11月第2週朝活論文紹介

当研究室では毎週月〜木曜日の朝9:00-10:00は,研究室のメンバーで集まって英語の論文を読んで紹介するというイベントを行っています.

今週の朝活では,下記論文を紹介しました.

  • Questioning the AI: Informing Design Practices for Explainable AI User Experiences (from CHI2020)
  • PenSight: Enhanced Interaction with a Pen-Top Camera (from CHI2020)
  • Exploring the Role of Social Robot Behaviors in a Creative Activity (from DIS2021)
  • Detecting Gender Stereotypes: Lexicon vs. Supervised Learning Methods(from CHI2020)

Questioning the AI: Informing Design Practices for Explainable AI User Experiences (from CHI2020)

書誌情報

Q. Vera Liao, Daniel Gruen, and Sarah Miller. 2020. Questioning the AI: Informing Design Practices for Explainable AI User Experiences. In Proceedings of the 2020 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI ‘20). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, 1–15. DOI:https://doi.org/10.1145/3313831.3376590

140字概要

説明可能なAI(XAI)の研究と実世界への適応の間にあるギャップを明らかにするため,AI製品に携わるUX・デザイン専門家へインタビューを行った.インタビューでは説明可能性に関するニーズや課題について質問し,ユーザのAIを理解したいというニーズには多様性があることが分かった.

まとめスライド

Questioning the AI_ Informing Design Practices for Explainable AI User Experiences.png (157.9 kB)

感想
  • AIの適切な説明方法がユーザによる質問と関係があると考え,デザインの専門家にインタビューを行っていた.インタビューの結果,個々人のニーズが異なることが分かった.今後,エンドユーザにもインタビューを行うことで,実用的な説明を模索することができるようになると考えられる.
  • 説明可能なAIを作るために有用な質問リストが作成されており,まだドラフト段階であるというようなことが書かれているが,利用できると思う.機械学習システムは世の中に広く普及し始めているが,その出力に対する説明が十分なものは非常に少ないと思われる.どういうユーザが何を求めているか,何が説明事項として優先されるべきなのかということをアプリケーションに落とし込んで実験してみても良いと考えられる.
  • AIのデザインを行う専門家に行われたインタビューの中でも様々な多様性のある回答が出るのは興味深かった。さらにその中でもどのような違いがあるかという「デザイナーの習性」の研究ができそうだと思った。

PenSight: Enhanced Interaction with a Pen-Top Camera (from CHI2020)

書誌情報

Fabrice Matulic, Riku Arakawa, Brian Vogel, and Daniel Vogel. 2020. PenSight: Enhanced Interaction with a Pen-Top Camera. In Proceedings of the 2020 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI ‘20). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, 1–14.

140字概要

タブレット端末のペン操作を向上させるために,手の周りを撮影できるカメラを設置したペン型デバイス「PenSight」を提案した.ユーザにPenSIghtを用いてアプリケーションを使用してもらい,その際に使うジェスチャーの評価をしてもらった.結果,頻繁に使用する機能や,モードの切替などの用途に適したジェスチャーを明らかになった.

まとめスライド

PenSight_ Enhanced Interaction with a Pen-Top Camera (1).png (241.9 kB)

感想
  • 個人的に現実世界の画像を指差すことでコピー&ペーストできる機能は,現実空間と電子空間の差異をうまく吸収できているデザインだと感じた.現実空間でのインタラクションを模倣・再現するのではなく,うまく組み合わせるようなデザインの方向性に発展させることも考えられる.
  • ペンとジェスチャーを活用するという今までにない操作をユーザに理解させるためには,いかに自然に使ってもらえるかを考えることが大事だと感じた.ジェスチャーの調査だけではなく,使用場面についても調査するとより実践的に活用できると考えられる.
  • PCで何らかの操作をする場合,ショートカットキーで素早く操作できるが,タブレットの場合はキーボードがついていないので,こういうジェスチャーが活用できれば操作しやすくなると思った.一方で,普段とは異なるやりづらいジェスチャーがあったり,種類が多すぎて機能を覚えられない問題がありそうなので,そこは改善する必要があると思われる.
  • 手の甲でユーザを識別できると知り,驚いた.ジェスチャーを考慮する際に,他のジェスチャーとは混同せず,かつ自然な動きを採用するにはどのような観点があるのか気になった.個人的には,小指を一本伸ばす,ペンを持っていいない手を垂直にする,といった動きは公共の場ではあまりしたくないと感じた.

Exploring the Role of Social Robot Behaviors in a Creative Activity (from DIS2021)

書誌情報

Hu, Y., Feng, L., Mutlu, B. and Admoni, H., 2021, June. In Designing Interactive Systems Conference 2021 (pp. 1380-1389).

140字概要

社会的行動をとれるロボット(以下Kuri)の関与が,人々のアイデア創出に与える影響や,人々がどのようにKuriを認識し,協働するのかについて調査を行った.kuriの社会的行動は,ユーザが創出したアイデアの柔軟性,精巧さ,独創性に統計的に有意な影響を及ぼさなかった.

まとめスライド

Exploring the Role of Social Robot Behaviors in a Creative Activity.png (188.8 kB)

感想
  • アイデア創出などの際には,信頼性のある人からフィードバックを受けるとポジティブな影響を与えるのではないかと感じた.人間にとってロボットの信頼性が低いため,ロボットの社会的行動がポジティブな影響を与えなかったのではと感じた.
  • 大人はロボットが喜んだり悲しんだりしても創造性に影響することは確認できなかったというのは,大人にはドラえもんがいらないと言われているようで残念だった.
  • ドラえもんの世界の実現は遠いと感じたが,こうした研究の絶対数自体が少ないと思うのでめげずに続けてほしいと思った.
  • 大人にもロボットが受容されるためには,ただ人間の感情に訴えるだけでなく,アイデアの正当性や斬新さをアピールできないと難しいと感じた.

Detecting Gender Stereotypes: Lexicon vs. Supervised Learning Methods(from CHI2020)

書誌情報

Jenna Cryan, Shiliang Tang, Xinyi Zhang, Miriam Metzger, Haitao Zheng, Ben Y. Zhao: Detecting Gender Stereotypes: Lexicon vs. Supervised Learning Methods. Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI2020), Paper. 361, pp1-11, 2020, April.

140字概要

自然言語に含まれるジェンダーバイアスを定量的に検出するために,従来のジェンダースコア(男性らしいか女性らしいかを表したスコア)に基づいたLexiconベースの手法と教師あり学習を利用したEnd to endの手法を比較検討した.その結果,中程度のコーパスでも,後者が正確であった.

まとめスライド

スクリーンショット 2021-11-11 9.12.49.png (620.4 kB)

感想
  • 単に全体の仕組みをシンプルにするだけで精度が向上したのは意外な発見だ。近年になって機械学習技術が発展してこのようなことが可能になったのかわからないが、似たようなアプローチはジェンダーバイアスの検出以外にも様々な応用が考えられる。ぜひ他の分野でも試してほしい。
  • Lexiconではなく,End to endの方が性能が良かったのは,入力が単語(動詞,形容詞)だけなのか段落全体なのかという部分が大きかったことから,人間が言葉を理解するには文脈が重要であると論文に書いてあったのがすごく納得した.日常的にも同じ言葉でも文脈によって意図や受け取り方が異なることがある.その微妙なニュアンスを提案手法がどのくらい学習できているかはわからないが,自然言語を機械に理解させる上で重要であると思う.
  • ジェンダーバイアスを検出する新たな手法が発見され,従来の手法より優れていることがこの論文からわかった.しかし人間がわかるかという観点から見たらどうか.従来の手法だと,単語で指摘されるだろうし,新たな手法だと文章全体で指摘されると考える.精度の高さと人間が理解できるかは別の話だと思う.

  • 文脈によって言葉の意味が変わることはよくあるので単語ごとにスコア付けされたデータを学習するLexiconに比べて段落丸ごと食わせるEnd-to-Endの方が精度が出るのは郁子なるかなと思った.