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2021年11月第1週朝活論文紹介

当研究室では毎週月〜木曜日の朝 9:00-10:00 は,研究室のメンバーで集まって英語の論文を読んで紹介するというイベントを行っています.

今週の朝活では,下記論文を紹介しました.

  • Crowdsourcing the Perception of Machine Teaching (from CHI 2020)
  • The Impact of Multiple Parallel Phrase Suggestions on Email Input and Composition Behaviour of Native and Non-Native English Writers (CHI 2021)
  • Biometric Mirror (from DIS 2019)
  • Cognitive Biases in Search (from CHIIR 2021)

Crowdsourcing the Perception of Machine Teaching (CHI 2020)

書誌情報

Jonggi Hong, Kyungjun Lee, June Xu, and Hernisa Kacorri. 2020. Crowdsourcing the Perception of Machine Teaching. In Proceedings of the 2020 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI 2020). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, 1–14.

140 字概要

専門的な知識のないユーザの機械学習モデルの学習・デバッグの方法を明らかにした.機械教示をリアルタイムで行えるインタフェースを作成し,クラウドソーシングで参加者を集め,機械教示タスクを課した.参加者は,学習データを作る際は,多様性を重視していたが,テストデータを作る際はエッジケースの見落としや一貫性への誤解があることが分かった.

まとめスライド

Crowdsourcing the Perception of Machine Teaching.png (240.2 kB)

感想
  • モデルを構築する際に,一般的にどの部分で誤りが起こりやすいのか明らかになった.これによって,適切なタイミングで介入を行うことができる.発展として,専門的な知識のない人の誤解を解消できかつ操作の妨げにならないインタラクションが模索できると感じた.
  • モデルの予測精度を上げるために必要なデータについて学べるため,機械学習の背後にある学習について知るために有用なワークショップになり得ると思う.機械学習のモデル構築を行う人は,エンジニアに留まらなくなっており,このような知識が広まることが重要だと思う.
  • 今回はユーザがどのような写真を撮って,モデル学習させるかという調査のための研究だったが,もしインタフェース作成に繋がるのだったら,モデル学習に向く写真を撮る Tips のようなものが表示されるといいと思った.
  • 機械学習についてあまり知識がないと,モデルは人間が考えることを完全に再現しているように誤解する可能性が高くなると思う.実際には人間の感覚と機械に学習させることにはギャップがあるので,そこを埋めることが重要になってくると考えられる.

The Impact of Multiple Parallel Phrase Suggestions on Email Input and Composition Behaviour of Native and Non-Native English Writers (CHI 2021)

書誌情報

Buschek, Daniel, Martin Zürn, and Malin Eiband. Proceedings of the 2021 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems. 2021.

140 字概要

メールの文脈を考慮した複数のフレーズを提示することが,文章を思いつくことにどの程度役立つかに加え,それらが言語の習熟度によってどのように異なるか調査した.結果として内容を考える上で役に立ったが,時間がかかり,言語習熟度が高い人程その傾向が顕著であることがわかった.

まとめスライド(1 枚の png ファイル)

The Impact of Multiple Parallel Phrase Suggestions on Email Input and Composition Behaviour of Native and Non-Native English Writers (1).jpg (102.5 kB)

感想
  • ノンネイティブにとって英作文の補助ツールは不可欠であると思うので,そのアプローチを調査することは有意義であると感じた.
  • 提示するフレーズの適切な数や,文章を思いつく際に適切なフレーズはどういったものなのかを調査するとよりこの研究がより発展すると感じた.
  • ユーザのキー入力(速さ,回数等)から分析を進めていたが日本語圏の人と英語圏の人では「かな・漢字変換」の有無があるので,日本語圏の人についてもこの研究の結果がそのまま当てはまるとは限らないだろう.日本語圏でも実験してみるともっと面白いと感じた.
  • いわゆるサジェスト機能が文章を効率的に書くだけでなく,より良い内容を思いつくことに効果があるならば,自由に学習モデルを変更出来ると面白いと思った.例えばある作家の小説,論文や判例,子供の作文など事前学習の際のデータに偏りをもたせることで,それらの人が書いた風の内容をだれでも書けるようになるのではないか.

Biometric Mirror: Exploring Ethical Opinions towards Facial Analysis and Automated Decision-Making (DIS 2019)

書誌情報

Niels Wouters, Ryan Kelly, Eduardo Velloso, Katrin Wolf, Hasan Shahid Ferdous, Joshua Newn, Zaher Joukhadar, and Frank Vetere. 2019. Biometric Mirror: Exploring Ethical Opinions towards Facial Analysis and Automated Decision-Making. In Proceedings of the 2019 on Designing Interactive Systems Conference (DIS 2019). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, 447–461. DOI:https://doi.org/10.1145/3322276.3322304

140 字概要

日常生活で一般の人々が,顔認証技術の懸念事項について議論する機会を促すために,人相に対する他者からの主観的な評価を含んだデータによって,学習させた BiometricMirror を提案.一般の人々にも,顔認証技術の問題点に関する議論に参加するよう促すことができた. 日常生活に落とし込めるオブジェクトが隠れている問題に気づかせる機会を与えた.

まとめスライド(1 枚の png ファイル)

スクリーンショット 2021-11-05 10.45.17.png (403.2 kB)

感想
  • あえて偏った機械学習モデルを使用し,人々の関心を集めるというアイデアが面白いと思った.
  • 一般の人が情報技術の懸念事項の議論に参加しないのは,理解できないや興味ないということだけでなく,別にそんなに危険だと思っていないということが考えられる.そうした中で自然に遊びに参加する中で,顔認証技術の危険性について体感させる BiometricMirrior はすごく面白いインタラクションだと思った.
  • 敢えて欠陥のある学習モデルを採用することで,ユーザに不信感を持たせ,顔認証に対する議論を呼び起こした研究であった.近年,便利な機械学習の手法が多く開発され,広く利用されるようになってきた.一方で,多くのユーザはその仕組みを理解しないまま利用してしまっている.単にアルゴリズムの説明をしても,理解を得たり興味を惹いたりするのは難しい.敢えて偏見に満ちた結果を示すのは,学習機の振る舞いを説明する有効な手法の一つとなると思われる.

Cognitive Biases in Search (CHIIR 2021)

書誌情報

Azzopardi, L., 2021, March. Cognitive biases in search: a review and reflection of cognitive biases in Information Retrieval. In Proceedings of the 2021 Conference on Human Information Interaction and Retrieval (pp. 27-37).

140 字概要

情報探索・検索(ISR)における認知バイアスに関する研究をまとめ,観察された認知バイアスをカタログ化し,検索ドメインと検索プロセスに現れる認知バイアスを分類した.また,ISR における認知バイアスを調査する上での,問題点や今後の課題について考察を行った.

まとめスライド

Cognitive Biases in Search_ A Review and Reflection of Cognitive Biases in Information Retrieval.png (170.8 kB)

感想
  • バイアスと聞くと悪影響ばかりを想定しがちだが、本研究では良い影響についても検討している。かなり詳細に 30 の分析をしているが、まだまだバイアスが存在することが示唆されており、普段の WEB 検索においてフィルターバブルについてより気をつける必要がある。
  • 多くの分析がされており,他の認知バイアスに関する研究を行う際に留意すべきことが理解しやすくなっている.この調査は複雑な認知バイアスについて,発展的な議論をすることに役立つと感じた.
  • 何をするにしてもついてくる認知バイアスではあるが、情報分野においてはより重要な役割を担っている。より一層研究が進めば、今後詐欺や悪徳商法などでも使われそうで少し怖くも感じた。