Slow Informatics Laboratory Get in Touch

Get In Touch

当研究室への配属を希望される方,研究プロジェクトにご関心のある方,共同研究をご希望の方は,下記フォームよりお問い合わせください.

2022年5月第4週朝活論文紹介

当研究室では毎週月〜木曜日の朝9:00-10:00は,研究室のメンバーで集まって英語の論文を読んで紹介するというイベントを行っています.

今週の朝活では,下記論文を紹介しました.

  • Designing for the Bitersweet: Improving Sensitive Experiences with Recommender Systems (from CHI 2022)
  • Crystalline: Lowering the Cost for Developers to Collect and Organize Information for Decision Making (from CHI 2022)
  • Emotype: Expressing emotions by changing typeface in mobile messenger texting(from MTAP2019)
  • Do Cookie Banners Respect My Choice? Measuring Legal Compliance of Banners from IAB Europe’s Transparancy and Consent Framework (from S&P 2020)
  • Active and Passive Utility of Search Interface Features in Different Information Seeking Task Stages(from CHIIR 2016)
  • Making Multiple Uses of the Obscura 1C Digital Camera: Reflecting on the Design, Production, Packaging and Distribution of a Counterfunctional Device(from CHI 2015)

Designing for the Bitersweet: Improving Sensitive Experiences with Recommender Systems (from CHI 2022)

書誌情報

Caitlin Lustig, Artie Konrad, and Jed R. Brubaker. 2022. Designing for the Bittersweet: Improving Sensitive Experiences with Recommender Systems. In CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI ‘22). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, Article 16, 1–18.

140字概要

センシティブなコンテンツに対するユーザの感情を尊重した推薦システムの設計は困難である.Facebookの「思い出」によってセンシティブなコンテンツを閲覧したユーザにインタビューしたところ,「ほろ苦い」と感じることが多かった.本研究では,こうしたユーザの複雑な感情を考慮したシステムの設計手法を提案した.

まとめスライド

Designing for the Bitersweet_ Improving Sensitive Experiences with Recommender Systems.png (167.9 kB)

感想
  • ビタースイートな感情というのは厄介で、感じたい時もあれば感じたくない時もあるので、それを考慮した設計されたらより心地よいSNSが実現するので具体的な方法の研究を期待する。
  • SNSのフィードバックでは,サムズアップ/サムズダウンがよく用いられているが,コンテンツに対するユーザの感情は非常に多様である.センシティブなコンテンツに限らず,ユーザの多様な感情をフィードバックできる設計を検討することで,多くのユーザの感情を尊重したサービスが提供できると期待される.

Crystalline: Lowering the Cost for Developers to Collect and Organize Information for Decision Making(from CHI 2022)

書誌情報

Liu, M. X., Kittur, A., & Myers, B. A. (2022, April). Crystalline: Lowering the Cost for Developers to Collect and Organize Information for Decision Making. In CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1-16).

140字概要

Web検索中に閲覧したページから情報を自動的に収集し,表にまとめるシステム・Crystallineを提案.特に要素技術の選定等,意思決定を求められる開発者が利用することを想定している.実験の結果,比較手法より20%早く比較のための表を作成でき,クオリティを下げずに労力を60%削減できた.

まとめスライド

Crystalline_ Lowering the Cost for Developers to Collect and Organize Information for Decision Making.png (166.3 kB)

感想
  • 本システムのドメインはシステム開発である.プロのエンジニアは自分の作成するシステムについて上司ら他の人間に説明する責任がある.しかし,筆者の経験上色々なページを遷移しタブを増やすうちに,ついついあれはどこに書いてあったっけと情報の出所を忘れがちになる.その点,Web検索しながらにして自分の考えと情報の出典を整理し,おまけに上司への説明資料まで作成できる本システムは,検索中の自分にとっても後から整理された情報を参照する人にとっても優しくて良いシステムだと感じた.一方で,ユーザの「調査・比較したい対象」を推定するためにページタイトルの「vs」という単語やよく繰り返される単語からそれを推定するという手段をとっているため,ルールから外れると機能しなくなる可能性が高い.ルールベースの仕組みではなくモデルベースの仕組みでユーザの意図を推定する工夫を盛り込む余地があると感じた.
  • 実際に有用そうだと感じたので,公開された場合には使ってみたいと思う.情報抽出したサイトなどを履歴として表示してくれる画面などがあれば,タスク再開も一定支援できるかもしれないと思う.

Emotype: Expressing emotions by changing typeface in mobile messenger texting(from MTAP2019)

書誌情報

Choi, S., Aizawa, K. Emotype: Expressing emotions by changing typeface in mobile messenger texting. Multimed Tools Appl 78, 14155–14172 (2019).

140字概要

テキストメッセージの送信時の送信者の感情に応じて書体を変化させるアプリケーションEmotypeを開発した.このアプリケーションでは,ユーザがタイピングメッセージを送信する際に,自身の感情に応じて書体を選択する.ユーザにEmotypeを使ってもらい,アンケート調査を行った結果,書体を変化させることで感情伝達が可能だとわかった.また,感情にあった書体を選択した場合,強調されるとわかった.

まとめスライド

Emotype_ Expressing emotions by changing typeface  in mobile messenger texting .png (155.0 kB)

感想
  • 今回は,幸福と怒りの感情のみに着目していたため,他の感情について調査するとより興味深い結果になるのではないかと感じた.一方で,6つ以上の感情になると,ユーザにとっては情報過多で,逆に使いづらいのではないかとも思った.
書誌情報

Matte, Celestin & Bielova, Nataliia & Santos, Cristiana. Do Cookie Banners Respect my Choice? : Measuring Legal Compliance of Banners from IAB Europe’s Transparency and Consent Framework. S&P 2020. 791-809.

140字概要

ユーザからクッキー使用の同意を得たウェブサイトがその選択を尊重しているかどうかの保証は必須ではない.IABの取り決めに基づいたバナーが表示されるウェブサイトがユーザの同意をどう扱っているか調査した.約半数のウェブサイトでは少なくとも1つの取り決めが守られていないことがわかった.

まとめスライド

Do Cookie Banners Respect My Choice_ Measuring Legal Compliance of Banners from IAB Europe's Transparancy and Consent Framework.png (158.1 kB)

感想
  • この研究が示すように,ウェブページの運営側の意図にかかわらず,ユーザがプライバシー上の懸念を感じるような状態になってしまうことは考えられる.自身のデータがどのように扱われるかについて,ユーザ側でコントロールできるすべを残すことは重要だと感じた.

Active and Passive Utility of Search Interface Features in Different Information Seeking Task Stages(from CHIIR 2016)

書誌情報

Huurdeman, H. C., Wilson, M. L., & Kamps, J. (2016, March). Active and passive utility of search interface features in different information seeking task stages. In Proceedings of the 2016 ACM on Conference on Human Information Interaction and Retrieval (pp. 3-12).

140字概要

クエリサジェストやクエリの履歴表示などの,検索インタフェースの機能の有用性が,検索の段階でどのように変化するのかを調査した.ウェブ検索中の行動ログや,視線,マウスカーソルの動き,有用性に関するアンケートの結果から,クエリサジェストや検索フィルタは初期段階で有効だが,徐々に有効性は減少する.クエリ履歴などのパーソナライズされた機能は,時間の経過とともに有効性が増加する

まとめスライド

Active and Passive Utility of Search Interface Features in Different Information Seeking Task Stages.png (160.2 kB)

感想
  • 既存の検索インタフェースは,各機能をユーザが能動的に使用する形となっている.各段階で有用な機能をユーザが受動的に使用できると,ユーザが効率よくウェブ検索を行えるような気がする.受動的な検索になってしまうと,ユーザの検索スキルの低下につながる可能性もあるので,その部分も考慮する必要があると感じる.

Making Multiple Uses of the Obscura 1C Digital Camera: Reflecting on the Design, Production, Packaging and Distribution of a Counterfunctional Device(CHI 2015)

書誌情報

James Pierce and Eric Paulos. 2015. Making Multiple Uses of the Obscura 1C Digital Camera: Reflecting on the Design, Production, Packaging and Distribution of a Counterfunctional Device. In Proceedings of the 33rd Annual ACM Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI ‘15). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, 2103–2112

140字概要

新しい考え方やアプローチを生み出すためのデザイン志向に役立つカメラを作成した。コンクリートで固められたカメラは、撮影としての機能から、撮影行動を超えた想像をさせる機能、その想像を具現化する機能を持つ。カメラの概念的/想像的/直接的な利用により、ユーザの発見的洞察を引き起こす。

まとめスライド

Making Multiple Uses of the Obscura 1C Digital Camera_ Reflecting on the Design, Production, Packaging and_ Distribution of a Counterfunctional Device.png (308.2 kB)

感想

デジタルとアナログの融合や、カメラを壊すまで写真を見られないという世界観にとても魅力を感じた。実際のアイディエーションでの効果が気になるし、自分も使ってみたい。