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2022年7月第4週朝活論文紹介

当研究室では毎週月〜木曜日の朝9:00-10:00は,研究室のメンバーで集まって英語の論文を読んで紹介するというイベントを行っています.

今週の朝活では,下記論文を紹介しました.

  • ARGONAUT: An Inclusive Design Process for Wearable Health Monitoring Systems (from CHI 2022)
  • Directed Diversity: Leveraging Language Embedding Distances for Collective Creativity in Crowd Ideation (from CHI 2021)
  • Engineering Music to Slow Breathing and Invite Relaxed Physiology (from ACII 2019)
  • Emotion-Cause Pair Extraction:A New Task to Emotion Analysis in Texts (from ACL 2019)
  • Enhancing Creativity as Innovation via Asynchronous Crowdwork (from WebSci 2022)
  • Searching the Literature: An Analysis of an Exploratory Search Task (from SIGIR 2022)
  • “You don’t want to be the next meme”: College Students’ Workarounds to Manage Privacy in the Era of Pervasive Photography (from SOUPS 2018)

ARGONAUT: An Inclusive Design Process for Wearable Health Monitoring Systems (from CHI 2022)

書誌情報

Gabriella Schauss, Katya Arquilla, and Allison Anderson. 2022. ARGONAUT: An Inclusive Design Process for Wearable Health Monitoring Systems. In Proceedings of the 2022 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI ‘22). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, Article 392, 1–12. https://doi.org/10.1145/3491102.3517590

140字概要

女性向けの心電図測定デバイス”ARGONAUT”を作成.女性が日常的に着用しても,不快感や違和感を感じにくいようンサー,電子機器,衣服の構造の観点から検討.布型電極の利用や衣服構造の検討によって,着用者への圧力を低減しつつ,着脱も容易になった.また,センサーがより体にフィットすることで,心電図波形の検出性能が向上した.

まとめスライド

ARGONAUT_ An Inclusive Design Process forWearable Health Monitoring Systems.png (326.1 kB)

感想

女性向けの心電図測定デバイスを作成した研究.昨今のウェアラブルデバイスは性能に注目が集まっている.しかし,物理的,精神的な着用し易さを高めることは,実験の継続性を高め,有用なデータを集める効果を導くのではないかと考えられる.デバイスの快適さに焦点を当てた研究の面白さ,有用性を感じさせられる研究だった.

Directed Diversity: Leveraging Language Embedding Distances for Collective Creativity in Crowd Ideation (from CHI 2021)

書誌情報

Samuel Rhys Cox, Yunlong Wang, Ashraf Abdul, Christian von der Weth, and Brian Y. Lim. 2021. In Proceedings of the 2021 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI ‘21). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, Article 393, 1–35.

140字概要

クラウドソーシングにおけるアイデア発想の多様性を増すためのプロンプト(ヒントとなる文)を自動抽出する手法を提案した.プロンプトは,コーパスからフレーズを抽出し,ベクトル化して,ユーザが入力したアイデアとの冗長性を避けながら多様性が高くなるように選択する.結果として,プロンプトをヒントにするとアイデアは出しづらかったが,多様なアイデアを出しやすかった.

まとめスライド

Directed Diversity_ Leveraging Language Embedding Distances for Collective Creativity in Crowd Ideation.png (177.7 kB)

感想
  • システムにユーザがアイデアを入力すると予め用意されたプロンプト候補のうち,入力されたアイデアと遠いものを提示し,ユーザがそれをヒントにまたアイデアを出す……ことで結果的に集団全体でアイデアが被りにくくなる.もちろん提示されたプロンプト同士を見てみても似たようなプロンプトを提示することが減り,すなわち多様なプロンプトを提示できたということになる.一方,本研究は候補からプロンプトを選択する場面を問題にしているので,プロンプトを生成(ソースとなる文書からフレーズを選択して組み合わせる)する場面で特別な工夫をしてはいない.確かに選択されたプロンプト同士をベクトル的に見れば離れているかもしれないが,プロンプトのソースがそれなりに信頼できる機関である点,プロンプトを用意する際にプロンプト間の多様さで選別しない(繰り返し表現やスラングを除去するなどの工夫はしている)点から,提示するプロンプト候補そのものの多様性はさほどないのではないかと思った.信頼できる機関であればあるほど下手なことは書かないし通説に従ったことを書くからだ.本研究と組み合わせて,多様性の高いプロンプトを用意する手法や,どの程度多様であればいいのか,あるいは出てきたアイデアの良し悪しと提示されたプロンプトとの関係などが研究されればよいなと考えた.

Engineering Music to Slow Breathing and Invite Relaxed Physiology (from ACII 2019)

書誌情報

Grace Lesliem, Asma Ghandeharioun, Diane Zhou, Rosalind W. Picard . “Engineering music to slow breathing and invite relaxed physiology.” 2019 8th international conference on Affective Computing and Intelligent Interaction (ACII). IEEE, 2019.

140字概要

ユーザの呼吸に影響を与え,リラクゼーション反応を誘発するインタラクティブな音楽システムを開発した。音楽を3種類のテンポに変換するシステムを用い、どの介入が呼吸数に影響を与えるか実験した。結果として、各音楽デザインは呼吸数を低下させた。特に”Personalized Tempo “は呼吸数を低下させる効果が高かった。総じて、生体情報を用いたインタラクティブな音楽には、生理学的に良い影響を与える可能性があることがわかった。

まとめスライド

Engineering Music to Slow Breathing and Invite Relaxed Physiology.png (179.4 kB)

感想

音楽の介入について、意識していない状態でも効果がみられることに驚いた。 実質的な結果を得るための実験デザインという点で、今回の欺瞞的な実験デザインは優れていると感じた。

Emotion-Cause Pair Extraction:A New Task to Emotion Analysis in Texts (from ACL 2019)

書誌情報

Rui Xia and Zixiang Ding. 2019. Emotion-Cause Pair Extraction: A New Task to Emotion Analysis in Texts. In Proceedings of the 57th Annual Meeting of the Association for Computational Linguistics, pages 1003–1012, Florence, Italy. Association for Computational Linguistics.

140字概要

文章中の感情とその原因節(感情の原因となった箇所)のペアを抽出する手法ECPEを提案した.マルチタスク学習を用いて,感情節と原因説の集合を抽出し,ロジスティック回帰により感情節と原因節のペアを見つける.従来の手法と比較した結果,従来の手法と同程度の精度であることが判明した.これにより,感情に対する原因節をアノテーションする必要がなくなった.

まとめスライド

Emotion-Cause Pair Extraction_ A New Task to Emotion Analysis in Texts.jpg (96.9 kB)

感想
  • sentinment(ポジティブな感情かネガティブな感情)よりも詳細な感情を扱っており,実際のタスクでも使用できそうな手法だと感じた.また,この論文のコアの部分として,アノテーションのコストがなくなることであり,精度向上を目的として論文と比較して,実用化への影響は大きいと感じた.

Enhancing Creativity as Innovation via Asynchronous Crowdwork (from WebSci 2022)

書誌情報

Murukannaiah, P. K., Ajmeri, N., & Singh, M. P. (2022, June). Enhancing Creativity as Innovation via Asynchronous Crowdwork. In 14th ACM Web Science Conference 2022 (pp. 66-74).

140字概要

クラウドソーシングを利用した非同期インタラクションにおける、イノベーションとしての創造性について調査した.単独のクラウドワーカーと事前の調整なしに形成されたのチームワーカーのアイデア発想タスクのパフォーマンスを比較.チームワーカーは、単独のクラウドワーカーに比べて、得られるアイデア数は少ないが、より創造的なアイデアを生成することが示唆された.

まとめスライド

CleanShot 2022-07-28 at 17.36.15@2x.png (444.1 kB)

感想
  • ランダムなチーム形成のみならず,DISCモデルを用いて,クラウドワーカーそれぞれが持つ特性を考慮したチーム形成も行っている.協調型の人がチームに居ると新規性を高めることは直感に合う結果である.チーム内の交流をより深める仕組みも必要だと考えられる.

Searching the Literature: An Analysis of an Exploratory Search Task (from SIGIR 2022)

書誌情報

Soufan, A., Ruthven, I., & Azzopardi, L. (2022, March). Searching the literature: an analysis of an exploratory search task. In ACM SIGIR Conference on Human Information Interaction and Retrieval (pp. 146-157).

140字概要

ユーザの専門知識,問題のコンテキスト,および検索プロセスの観点から,探索的検索の特徴をまとめ,概念モデルを提案.提案した概念モデルをもとに,どのような要因が探索的検索の特徴に影響を与えるのかを調査するためのアンケートを作成し,回答を分析した.新しい概念に出会い,情報収集のために繰り返し検索を行うことは,探索的検索の特徴の1つ.また,探索的検索の経験が多い人は,少ない人に比べ,タスクをサブタスクに分割することができ,関連情報を見つけるための計画を行うことができる.

まとめスライド

Searching the Literature_ An Analysis of an Exploratory Search Task.png (178.8 kB)

感想
  • 探索的検索の経験の有無のよるグループ間での結果の差から,ユーザの探索的検索を支援するための仕組みのヒントになると感じた.

“You don’t want to be the next meme”: College Students’ Workarounds to Manage Privacy in the Era of Pervasive Photography (SOUPS ‘18)

書誌情報

Yasmeen Rashidi, Tousif Ahmed, Felicia Patel, Emily Fath, Apu Kapadia, Christena Nippert-Eng, and Norman Makoto Su. 2018. “You don’t want to be the next meme”: college students’ workarounds to manage privacy in the era of pervasive photography. In Proceedings of the Fourteenth USENIX Conference on Usable Privacy and Security (SOUPS ‘18). USENIX Association, USA, 143–157.

140字概要

ソーシャルメディアで写真を共有することについて利用者が感じるプライバシーの懸念や対処法の実態を調査した.インタビューの結果からプライバシーの懸念を4つの段階に分けてモデル化した.ソーシャルメディアにおけるプライバシーリスクを解決する際には,それぞれの段階に適した設計をする必要性を指摘している.

まとめスライド

“You don’t want to be the next meme”_ College Students’ Workarounds to Manage Privacy in the Era of Pervasive Photography.png (146.8 kB)

感想
  • インタビューの結果を見ると,自分自身もしくは自身が所属するグループ(友人間,サークルなど)の評判や他人からの評価に与える影響を気にするユーザが多いと感じた.