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2021年6月第2週朝活論文紹介

当研究室では毎週月〜木曜日の朝9:00-10:00は,研究室のメンバーで集まって英語の論文を読んで紹介するというイベントを行っています.

今週の朝活では,CSCW2010,CHI2021より下記論文を紹介しました.

  • PrivacyMic: Utilizing Inaudible Frequencies for Privacy Preserving Daily Activity Recognition (from CHI 2021)
  • Building for ‘We’: Safety Settings for Couples with Memory Concerns (from CHI2021)
  • IdeaBot: Investigating Social Facilitation in Human-Machine Team Creativity (from CHI2021)
  • WeSearch: Supporting Collaborative Search and Sensemaking on a Tabletop Display (from CSCW2010)

PrivacyMic: Utilizing Inaudible Frequencies for Privacy Preserving Daily Activity Recognition (from CHI ’21)

書誌情報

Yasha Iravantchi, Karan Ahuja, Mayank Goel, Chris Harrison, and Alanson Sample. 2021. PrivacyMic: Utilizing Inaudible Frequencies for Privacy Preserving Daily Activity Recognition. CHI ’21, May 8–13, 2021, Yokohama, Japan. ACM, New York, NY, USA, 13 pages.

140字概要

音を用いたセンシングデバイスのプライバシー向上を目的とし,人間の話し声にあたる周波数帯域以外の音を用いて人間の行動を認識するマイクを提案.超音波の周波数帯域の音が重要な役割を持つことがわかった.提案されたマイクで話し声を録音する実験を行ったところ,誰一人内容を聞き取ることはできなかった.

まとめスライド

image.png (212.4 kB)

感想
  • 音声認識の普及に代表されるように、日常への音によるセンシングは広まりつつある。それと同時に、GDPRのようなプライバシーに対する意識も高まってきている。今回の研究は、両者のトレンドに対応し、障害となりうる課題を解決することのできる基礎研究である。今後はより可聴域帯におけるプライバシー保護を高めていけると、より実用的になるだろうと感じる。
  • I think this proposal is geneous, it will not invade people’s privacy and make the accurate activity recognization possible.
  • マイクに対するプライバシー保護の手法としては,使用時以外にジャミングノイズを発生させる手法があるが,使用時とそれ以外の切り替えに問題があったりと,利便性を損なう可能性もあった.この手法ではマイクが収集する周波数を調整し,プライベートな内容を含まないようにしている.これらのマイクで集められた音声からの行動認識がより一般的になれば,プライバシー保護に大きく貢献できると考えた.
  • 音声認識デバイスが惜しげもなく企業にデータ提供していることが気掛かりだった。この実験内容が公用化してユーザーにプライバシー設定の権利が与えられたら、やっと企業とユーザー間の公平性が実現されるだろうと考えた。

Building for ‘We’: Safety Settings for Couples with Memory Concerns (from CHI2021)

書誌情報

Nora McDonald, Helena M. Mentis: Building for ‘We’: Safety Settings for Couples with Memory Concerns. Proceedings of the 2021 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI2021) , Pages 1–11, May 2021.

140字概要

認知症において,通常の生活を維持するためには誰かと共同生活を行うことが不可欠である.本研究では,サイバーセキュリティの側面において,相互監視システムによって夫婦などのペアがリスクを管理して生活するためのアプローチを提案した.そしてシステムを用いたシナリオを見せ,観察によってシステムに対する被験者ペアの意識を調査した.結果,被験者は安全のために局所的な監視は必要であると考える一方で,システムによって人間関係のバランスが崩れることに懸念があることがわかった.

まとめスライド

Building for ‘We’_ Safety Settings for Couples with Memory Concerns.png (161.9 kB)

感想
  • 結論として得られたことは基本的な内容のようにも感じたが,高齢者のセキュリティという問題に取り組んだ点で重要な研究だと感じた.また,こうした観察実験というスタイルにあまりなじみがなかったが,定量的に観察することの難しい問題への取り組み方としての意義深さを感じた.
  • 高齢な夫婦が協調的にセキュリティ対策をするという研究は革新的であると感じた.結果として,パートナーへの負担や徹底的な監視を躊躇するということが分かったが,この点に人間らしさを感じた.
  • 認知症は身近で大きな社会問題である.認知症を予防するとか,判定するとかではなく,「共に生きていくにはどうしたらよいか」という設定をしているところが面白いと感じた.監視されたくない以外にも,認知症への不安要素として,認知症と断定されたくないという心理があると思うので,そういうところに配慮することも大切だと考えた.

IdeaBot: Investigating Social Facilitation in Human-Machine Team Creativity (from CHI2021)

書誌情報

Angel Hsing-Chi Hwang and Andrea Stevenson Won. 2021. IdeaBot: Investigating Social Facilitation in Human-Machine Team Creativity. In Proceedings of the 2021 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI ‘21). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, Article 712, pp.1–16.

140字概要

相手を人間と認識するかBotと認識するか,また会話の形式がBotらしい場合と人間らしい場合で,個人の創造性にどのような影響を与えるか調査した.結果,ユーザがBotと認識している場合,より多くの質が高いアイデアを提供した.

まとめスライド

IdeaBot.png (184.8 kB)

感想
  • 今回の実験はBotが決め打ちであったが,どういったタイミングで助言するのがよいかなども知れたら面白そう.将来的にユーザの属性に応じてBotの振る舞い方をパーソナライズ化をすることができれば,より良い活動ができると感じた.
  • アイデアではない,会議における意思決定の場面でも,複数人であることのプレッシャーを感じると思う.会議などにおいても複数人ではなく1対Botでそれぞれ考えるほうがよい結論に向かうのか知りたい.
  • 会話スタイルがBotのように形式的で丁寧な場合に自己効力感が高まるならば,実際の会議などで発言をBot風に変換するシステムを使えばお互いに自己効力感が高まるシステムができるのではないか.
  • 人間が,対Botと意思決定するのではなく,人間同士で意思決定を行う際に,それぞれの自己効力感を高めたり,コミュニケーションの不安を解消するようなファシリテーター役を担うBotがあると良いと感じた.

WeSearch: Supporting Collaborative Search and Sensemaking on a Tabletop Display (from CSCW2010)

書誌情報

Meredith Ringel Morris and Jarrod Lombardo, Daniel Wigdor. WeSearch: Supporting Collaborative Search and Sensemaking on a Tabletop Display. In Proceedings of the 2010 ACM Conference on Computer supported cooperative work (CSCW ‘10). Pages 401–410, Febrary 2010.

140字概要

従来の協調Web検索システムの欠点を補うために設計したWeSearch(テーブル型ディスプレイ)の機能が,協調Web検索の促進に有効的かどうかを調査した.WeSearchの機能は,協調Web検索のグループメンバーの認識力を高める,意思決定をサポートするという効果があるとわかった.

まとめスライド

スクリーンショット 2021-06-09 10.50.34.png (973.4 kB)

感想
  • システムのデザイン,機能自体は良いと思ったが,このシステムが使える場面,場所は限定的であるため,この論文で確認できた機能,デザインをユビキタスなものに落とし込めるとより良いと思った.
  • 協調Web検索について様々な研究がなされているが,想定している場面によって相応しいデザインは異なることが分かった.Webページという固定された範囲の中にたくさんの情報が含まれている場合,内容を分かりやすく整理できる方法は新しいと思った.