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2021年10月第4週朝活論文紹介

当研究室では毎週月〜木曜日の朝9:00-10:00は,研究室のメンバーで集まって英語の論文を読んで紹介するというイベントを行っています.

今週の朝活では,下記論文を紹介しました.

  • Search Atlas: Visualizing Divergent Search Results Across Geopolitical Borders (from DIS 2021)
  • Screen2Words: Automatic Mobile UI Summarization with Multimodal Learning (from UIST 2021)
  • Spidey Sense: Designing Wrist-Mounted Affective Haptics for Communicating Cybersecurity Warnings (from DIS 2021)
  • Interactive Hyperparameter Optimization with Paintable Timelines (from DIS 2021)

Search Atlas: Visualizing Divergent Search Results Across Geopolitical Borders (from DIS 2021)

書誌情報

Rodrigo Ochigame and Katherine Ye. 2021. Search Atlas: Visualizing Divergent Search Results Across Geopolitical Borders. In Designing Interactive Systems Conference 2021 (DIS 2021). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, 1970–1983.

140字概要

本論文では同様の意味を持つ語をクエリとした他言語での検索結果を同時に表示するSearch Atlasを提案している.文字による検索結果のみならず,得られた結果を世界地図上へのマッピングや,似た属性の結果でクラスタリングした形でも表現する.こうした表現により,ユーザは地理的/言語的/文化的/政治的側面によってウェブ検索の結果がどのように異なるのかについて視覚的に理解することが可能となる.

まとめスライド(1枚のpngファイル)

Search Atlas_ Visualizing Divergent Search Results Across Geopolitical Borders.png (232.6 kB)

感想
  • Wikipediaの記事を見ていて他の国ではどのように書かれているのかと気になることがあるので,このような形で可視化を行うことは他国の考えを理解することに大きく貢献するのではないかと感じた.
  • 検索アルゴリズムによって最適化されていることが,ユーザにわかりやすく伝わるアイデアであると感じた.ただ,その後のユーザがその違いを知ったとき,どのような行動を取るのかは気になった.
  • 今回は,システムの提案をしたのみでありユーザ実験などは行っていないが,このシステムにより,ユーザのどのような振る舞いを想定しているのかが気になった.

Screen2Words: Automatic Mobile UI Summarization with Multimodal Learning (from UIST 2021)

書誌情報

Wang, Bryan, et al. The 34th Annual ACM Symposium on User Interface Software and Technology. 2021.

140字概要

複雑なUIを簡潔な文章に自動的に要約する手法,Screen2Wordsを提案した.大量のアプリUIに対してアノテーションをし,UI画像を入力すると説明文が生成されるモデルを複数構築した.フルモデルは他のモデルよりも優れていた.

まとめスライド

Screen2Words_ Automatic Mobile UI Summarization with Multimodal Learning.png (143.2 kB)

感想
  • これが実用化されれば色々な遊びが作れそう.
  • 画面要約はすべてのユーザが素早く使用法を把握するのに有効であるため、新しいアプリケーションの発表や、Windowsのように発表済みのアプリケーションをアップデートによって大きく変更する際に、ユーザの学習コストを低減させると言った利用法が考えられる。また、視覚障害を持つ人がスマートフォンを利用するための助けとしても役立つだろう。
  • 逆の使い方ができると面白そうだと思った.自然言語でこういうUIが欲しい,と入力するとそれに対応したUIが生成されれば,アプリ開発において企画者,デザイナー,エンジニア間でのやり取りがかなり効率化されそう.
  • モバイル端末の画面要約ということであったが、時代に巡行しつつ山本研究室のテーマには反してくるなと考えてしまった。ただシンプルな内容なので機械学習に生かして何かしらの画像群の分析を行わせるなどもう一段階活用法が見つかればよりいい研究になってきそう。

Spidey Sense: Designing Wrist-Mounted Affective Haptics for Communicating Cybersecurity Warnings (from DIS 2021)

書誌情報

Youngwook Do, Linh Thai Hoang, Jung Wook Park, Gregory D. Abowd, and Sauvik Das. Spidey Sense: Designing Wrist-Mounted Affective Haptics for Communicating Cybersecurity Warnings. In Designing Interactive Systems Conference 2021 (DIS ‘21). 125–137.

140字概要

スマートウォッチのリストバンドの締め付けの強弱を調節することで,ユーザにセキュリティリスクを通知するウェアラブルデバイス”Spidey Sense”を提案.振動による通知と比較して,より緊急性のある通知方法として適しているとの評価が得られた.

まとめスライド

Spidey Sense_ Designing Wrist-Mounted Affective Haptics for Communicating Cybersecurity Warnings.png (158.4 kB)

感想
  • 通常の通知と異なるチャネルを実装するのは,緊急性を伝える上で効果的であると考える.しかし,依然として慣れの問題は残る.この論文では直感的な危機感を想起するような通知方法を目標としていた.今後は現実空間での危機感と同じような感情をもたらすインタフェースをどのようにデザインするかについて考えられると感じた.
  • セキュリティリスクは物理的なリスクと異なり直感的な恐怖を感じられない.今回の研究では,リストバンドの締め付けを用い,間接的にセキュリティリスクを物理的に感じさせている.しかし,実際に使用していると,いずれ締め付けの感覚に慣れてしまい,セキュリティ警告が無視されるようになるのではないかと考えられる.実際にユーザに使用してもらい,有用性を検証する必要があると感じる.
  • セキュリティリスクを直感的に分からさえることが目標とされていたが,締め付けがセキュリティリスクを理解することにつながるのかは疑問に思った.
  • 少々気になったのだが,Spidey Senseの締め付けが発動するときに,モータのギアの音だろうか,かなり大きい金属音が鳴っていた.人によるだろうが、私は恐怖を感じた.実験では触覚だけではなく,音が入っていた条件も考慮すると,締め付けることが有効だというのにはまだ早いのではなかろうか.

Interactive Hyperparameter Optimization with Paintable Timelines (from DIS 2021)

書誌情報

Keita Higuchi, Shotaro Sano, Takeo Igarashi: Interactive Hyperparameter Optimization with Paintable Timelines. In Designing Interactive Systems Conference 2021 (DIS 2021), pp.1518-1528, June 28-July 2, 2021.

140字概要

本研究では,機械学習におけるハイパーパラメータ調整のための対話型ダッシュボードを提案した.ハイパーパラメータの調整には時間と品質のトレードオフの問題があり,半自動化することが望まれる.提案システムはハイパーパラメータの探索状況が視覚化され,探索範囲を制限することを可能にした.

まとめスライド(1枚のpngファイル)

Interactive Hyperparameter Optimization with Paintable Timelines.png (157.8 kB)

感想
  • 視覚的にわかりやすくし,ペイントという感覚的にわかりやすい介入方法にしたのが良いと思った.
  • 提案システムは人間の経験による利点と,自動化による利点をうまく組み合わせていると思う.ハイパーパラメーターの設定は試行錯誤ではあるものの,精度を上げるための重要な要素なので,この部分を短縮できれば機械学習の本質的な部分に時間をかけることができると思った.
  • 実験では対象のタスクのパラメータの分布について知っている人が被験者として参加していたので,完全自動の場合よりは結果が良くなったのかなと感じた.対象のタスクについてよく知らない人もこのツールのパネルを見ながらその分布がなんとなく理解できると思うのでUIの有効性の意味でも