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2022年4月第2週朝活論文紹介

当研究室では毎週月〜木曜日の朝9:00-10:00は,研究室のメンバーで集まって英語の論文を読んで紹介するというイベントを行っています.

今週の朝活では,下記論文を紹介しました.

  • This Item Might Reinforce Your Opinion: Obfuscation and Labeling of Search Results to Mitigate Confirmation Bias (from HT 2021)
  • Chorus: A Crowd-Powered Conversational Assistant (from UIST 2013)
  • Home Smart Fitness System Integrating Fitness Programand Product Design(from EITCE 2021)
  • Identifying and Predicting the States of Complex Search Tasks(from CHIIR 2020)
  • What Makes Interruptions Disruptive?A Process-Model Account of the Effects of the Problem State Bottleneck on Task Interruption and Resumption(from CHI 2015)
  • Co-Design Beyond Words: ‘Moments of Interaction’ with Minimally-Verbal Children on the Autism Spectrum(from CHI 2019)
  • QuickScorer: A Fast Algorithm to Rank Documents with Additive Ensembles of Regression Trees (from SIGIR 2015)

This Item Might Reinforce Your Opinion: Obfuscation and Labeling of Search Results to Mitigate Confirmation Bias (from HT 2021)

書誌情報

Alisa Rieger, Tim Draws, Mariët Theune, and Nava Tintarev. This Item Might Reinforce Your Opinion: Obfuscation and Labeling of Search Results to Mitigate Confirmation Bias. In Proceedings of the 32nd ACM Conference on Hypertext and Social Media (HT’21). 189–199. 2021.

140字概要

ウェブ検索における確証バイアスを軽減するための検索インタフェースを提案した.意見の偏りを生じる可能性のある検索結果に対して警告を表示し,そのままでは読めない状態にした.ユーザと反対or賛成の意見をもつウェブページのみを難読化した場合,閲覧数とマーク数ともに有意に減少した.

まとめスライド

This Item Might Reinforce Your Opinion (1).png (145.6 kB)

感想
  • 偏った内容のウェブページにアクセスするための手間を増やし,ウェブ検索ユーザが実感できていないリスクを明示することは,ウェブページの閲覧とそれに伴うリスクのバランスの評価に役に立つと感じた.一方で論文でも述べられていたとおり,対象となるウェブページの選択方法によっては,利用ユーザの考えを誘導できる可能性がある.選択アルゴリズムの透明性や説明可能性を高める工夫が必須だと感じた.
  • Web検索時の面倒さ故に,バイアスを回避しないのではと考えていたが,その面倒さを利用してバイアスを回避する方法を考えたのは,非常に面白いと思った.ただ,バイアスについて理解し,同意が求められる設計上,全てのユーザに受け入れてもらえるとは考えられないため,より自然なアプローチにし,同等の効果を得るためにはどのようなアプローチがあるのかを考える必要があると感じた.

Chorus: A Crowd-Powered Conversational Assistant (from UIST 2013)

書誌情報

Lasecki, W. S., Wesley, R., Nichols, J., Kulkarni, A., Allen, J. F., & Bigham, J. P. (2013, October). Chorus: a crowd-powered conversational assistant. In Proceedings of the 26th annual ACM symposium on User interface software and technology (pp. 151-162).

140字概要

クラウドワーカー協力型の会話アシスタントChorusを提案した.複数のクラウドワーカーが協力して,ユーザに対する応答を提案する.Chorusの有用性検証の結果,様々な領域のタスクを支援でき,対話の過程で一貫性を維持して的を得た応答ができることが示された.

まとめスライド

CleanShot 2022-04-22 at 00.33.47.png (140.8 kB)

感想
  • 複数のクラウドワーカーが協力して,妥当な最終応答を送信できるプロセスを構築している点が勉強になった.2013年の論文だが,現在でもMLにできない(難しい)ことはまだまだ残っていると思う.複雑で創造的なことを人間に頼むという思考は考えてみれば当たり前のことではあるが,それをシステムでやっている例は実世界であまり見ない.

Home Smart Fitness System Integrating Fitness Program and Product Design (from EITCE 2021)

書誌情報

Shengzhao Yu, Ming Lei, and Yuqi Zhan. Home Smart Fitness System Integrating Fitness Program and Product Design. EITCE 2021. 1610–1616.

140字概要

COVID-19に伴い,家庭用のフィットネス機器やフィットネスアプリの需要が高まっており,ユーザのニーズに適した家庭用フィットネス機器の開発が求められる.アンケートの結果を基に,アプリによる運動計画の立案,家具と融合した斬新なフィットネス機器,バーチャルコーチによる指導などの要件を満たすシステムデザインを考案.

まとめスライド

Home Smart Fitness System Integrating Fitness Program and Product Design.png (136.7 kB)

感想
  • アンケートの結果,ユーザは健康アプリに対してゲーミングよりも科学的根拠に基づく指導や,プログラム管理を求めていることが分かり,意外な結果であった.また,鏡やソファーなどと融合したフィットネス機器が複数紹介されており,1人のユーザーとしても興味を惹かれる内容であった.斬新なフィットネス機器とアプリによるコーチングという今まで個別の存在であったものが相互に作用するようにまとめられており興味深かった.

Identifying and Predicting the States of Complex Search Tasks (from CHIIR 2020)

書誌情報

Liu, J., Sarkar, S., & Shah, C. (2020, March). Identifying and predicting the states of complex search tasks. In Proceedings of the 2020 Conference on Human Information Interaction and Retrieval (pp. 193-202)

140字概要

探索的ウェブ検索中のタスクの状態を特定・分類し,また,それらの状態を予測するモデルを構築した.調査の結果,タスクの状態は主に4つに分類され,各状態間/内での遷移が観測された.ウェブ検索中において,前のセッションの行動ログを用いることで,ベースラインの精度を大きく上回る精度でタスク予測を可能にするモデルを構築した.

まとめスライド

Identifying and Predicting the States of Complex Search Tasks.png (180.5 kB)

感想
  • ウェブ検索中にユーザがどのような問題を抱いているのか,またその問題を解決するためにはどのような支援が必要なのかを明らかにしており,自身の研究にも活かせる部分があると感じた.実際にユーザが必要としている支援を行うことは,状態の遷移確率に大きく影響を与えると思うので,支援を加えた場合にも状態の予測も必要になると感じた.

What Makes Interruptions Disruptive?A Process-Model Account of the Effects of the Problem State Bottleneck on Task Interruption and Resumption(from CHI 2015)

書誌情報

Borst, J. P., Taatgen, N. A., & van Rijn, H. (2015, April). In Proceedings of the 33rd annual ACM conference on human factors in computing systems (pp. 2971-2980).

140字概要

タスク割り込みから復元時までの問題状態(タスクのまさに取り組んでいる箇所とその状態)の記憶を考慮した新たな認知モデルを構築,実験で立証した.従来のモデルよりも正確にタスクの中断・再開の影響を説明できた.

まとめスライド

What Makes Interruptions Disruptive_ A Process-Model Account of the Effects of the Problem State Bottleneck on Task Interruption and Resumption.png (153.3 kB)

感想
  • 問題状態がどのような情報かを判定できるようになればそれをユーザに提示することで,時間経過で記憶が減衰していく問題を解決できるのではないかと思った.

Co-Design Beyond Words: ‘Moments of Interaction’ with Minimally-Verbal Children on the Autism Spectrum (from CHI 2019)

書誌情報

Cara Wilson, Margot Brereton, Bernd Ploderer, and Laurianne Sitbon. 2019. Co-Design Beyond Words: ‘Moments of Interaction’ with Minimally-Verbal Children on the Autism Spectrum. In Proceedings of the 2019 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI ‘19). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, Paper 21, 1–15.

140字概要

言葉を持たない自閉症の子供たちに対して行動観察と分析を行い、“Co-Design Beyond Words”という子供たちの興味や能力に寄り添う、Co-Designアプローチを提案。観察することで、言葉では伝えきれない洞察を得ることができ、自閉症の子どもならではの強みをCo-Designに反映できる。

まとめスライド

Co-Design Beyond Words_ ‘Moments of Interaction’ with Minimally-Verbal Children on the Autism Spectrum.png (167.9 kB)

感想

Co-designにおけるコミュニケーションとして言葉以外に注目するのは面白いと思った。しかし、観察・分析したのち、結局大人の関与があることで、制作物には大人側が捉えた考えが反映されてしまうのがもったいないと感じた。子どもたちで完結できるデザインがあると良い。

QuickScorer: A Fast Algorithm to Rank Documents with Additive Ensembles of Regression Trees (from SIGIR 2015)

書誌情報

Claudio Lucchese,Franco Maria Nardini,Salvatore Orlando,Raffaele Perego,Nicola Tonellotto,Rossano Venturini. QuickScorer: A Fast Algorithm to Rank Documents with Additive Ensembles of Regression Trees. SIGIR 2015, 73–82, (2015).

140字概要

Web検索エンジンがクエリ結果をランク付けする時に用いることもできるアルゴリズムQuickScorerを提案.文書を木構造で表現し,各ノードの特徴量をビットベクトルで表現する.キャッシュが効きやすく,単純なビット演算なので計算の負荷が小さいという特長を持ち,既存手法より最大6.5倍高速に動作した.

まとめスライド

QuickScorer_ A Fast Algorithm to Rank Documents with Additive Ensembles of Regression Trees.png (174.0 kB)

感想
  • 難しかった.受け取ったクエリを高速に処理する技術は,この論文にあるように,いくつも提案されているので,自分はユーザが注意深く探索できるクエリを発行できるようにするためにソフトウェアがどんな支援をできるか考えてみたい.