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2022年4月第3週朝活論文紹介

当研究室では毎週月〜木曜日の朝9:00-10:00は,研究室のメンバーで集まって英語の論文を読んで紹介するというイベントを行っています.

今週の朝活では,下記論文を紹介しました.

  • Providing Explainable Race-Time Predictions and Training Plan Recommendations to Marathon Runners (from RecSys 2020)
  • Interest Development, Knowledge Learning, and Interactive IR: Toward a State-based Approach to Search as Learning(from CHIIR 2021)
  • Personalized Privacy-aware Image Classification (from ICMR 2016)
  • Communicating Context to the Crowd for Complex Writing Tasks (from CSCW 2017)
  • Understanding Echo Chambers in E-commerce Recommender Systems(from SIGIR 2020)
  • Dear Diary: Teens Reflect on Their Weekly Online Risk Experiences(from CHI 2016)

Providing Explainable Race-Time Predictions and Training Plan Recommendations to Marathon Runners (from RecSys 2020)

書誌情報

Ciara Feely, Brian Caulfield, Aonghus Lawlor, and Barry Smyth. 2020. Providing Explainable Race-Time Predictions and Training Plan Recommendations to Marathon Runners. Fourteenth ACM Conference on Recommender Systems. Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, 539–544.

140字概要

マラソンランナーは自身の能力や目標とするタイムによって適宜トレーニングプランを調整する.しかし.アマチュアのランナーは自身に適した目標を設定することが難しい.本研究では,過去のランナーのトレーニングやレースタイムのデータを用いて事例ベース推論を行い,ランナー個々人ごとの予想レースタイムやトレーニングプランを提案する.実験の結果,レースタイムの予測精度はトレーニングを続けるほど高くなっていった.

まとめスライド

Providing Explainable Race-Time Predictions and Training Plan  Recommendations to Marathon Runners (1).png (123.2 kB)

感想
  • 事例ベース推論によって,ユーザの将来的な運動量を予測するというアプローチは興味深かった.特に,特徴量を抽出して予測を行う手法は,システムの説明可能性を高めるというメリットもあると考えられる.

Interest Development, Knowledge Learning, and Interactive IR: Toward a State-based Approach to Search as Learning(from CHIIR 2021)

書誌情報

Liu, J., & Jung, Y. J. (2021, March). Interest Development, Knowledge Learning, and Interactive IR: Toward a State-based Approach to Search as Learning. In Proceedings of the 2021 Conference on Human Information Interaction and Retrieval (pp. 239-248).

140字概要

長期的な検索学習を理解するための関心検索学習モデルを提案し研究課題を整理した.モデルは,興味関心・知識学習・検索の3次元からユーザの検索状態を表現できる.研究課題は,各次元間での変化をどう観測・予測するか、またはIRのシステムにどう活用できるかといった観点で、7つが整理された.

まとめスライド

Interest Development, Knowledge Learning, and Interactive IR_ Toward a State-based Approach to Search as Learning.png (153.9 kB)

感想
  • ユーザの検索状態を観測できるようになれば、それに合わせた検索支援がコンピュータでできるようになると思った。
  • 3つの次元のそれぞれの評価方法や,それぞれの相互作用についてまとめられており,自身の研究に活かせる論文であった.

Personalized Privacy-aware Image Classification (from ICMR 2016)

書誌情報

Eleftherios Spyromitros-Xioufis, Symeon Papadopoulos, Adrian Popescu, and Yiannis Kompatsiaris: “Personalized Privacy-aware Image Classification”. International Conference on Multimedia Retrieval (ICMR ‘16). 71–78. 2016.

140字概要

画像からプライバシーのリスクを測定するモデルを提案.ユーザ自身の画像に重みを付けた上でユーザ自身の画像と他のユーザの画像を混ぜて学習させた.結果として一般的な画像セットからでは予測できなかったユーザのプライバシーの好み(preference)を予測することができた.

まとめスライド

Personalized Privacy-aware Image Classification.png (132.6 kB)

感想
  • このようなプライバシーに関する研究は社会的に意義が大きい一方で,研究に用いるデータをどう用意するかに関して困難な点があると考える.この論文ではその点に少し触れられていて,適切なインセンティブを用意することや,そもそもの社会的な認知度を上げることで協力してもらいやすくするなどのアプローチが言及されていた.
  • この論文のポイントは2つある.1つ目は画像認識に使うモデルをそのユーザ(の好み)に合わせて訓練するために,訓練データにそのユーザ自身の画像(自撮りというより自分のスマホにある画像一般)およびそれに対するユーザのリスク評価(これがラベル)を使うことだ.実験で性能が良かったので他のユーザのそれも混ぜている(semi-personalized)が,とにかくpersonalizedな点がポイント.2つ目は推論した後,その画像に含まれるプライバシーのリスクの種類と程度を説明する際に6つの観点で提示するようにしたことだ.画像から抽出されたキーワードを言わば抽象化して観点A(例えばerotic)がどのくらい,といったように提示する.こうすることで推論結果にユーザが納得しやすくなることを目指したそう.正直なところ,ユーザ自身の画像を訓練データ(の一部)に用いるのだから性能が上がるのは当然だろう.だから,どちらかというと2つ目が大切だと考える.しかし論文では「意味論の semantic」しくみを使ったことで性能が良くなったとされていたが,semanticのしくみを使うとなぜ性能が良くなるのか分からなかったので,個人的にそこをもう一度調べないといけないなと考えている.

Communicating Context to the Crowd for Complex Writing Tasks (from CSCW 2017)

書誌情報

Salehi, N., Teevan, J., Iqbal, S., & Kamar, E. (2017, February). Communicating context to the crowd for complex writing tasks. In Proceedings of the 2017 ACM Conference on Computer Supported Cooperative Work and Social Computing (pp. 1890-1901).

140字概要

クラウドワーカーと依頼者がコミュニケーションを取りながら執筆タスクをこなせるよう支援するための構造化メカニズムを提案した.5つの構造化メカニズムがもたらす,クラウドワーカーにとっての価値および依頼者に与えるコストについて調査した.構造化メカニズムは執筆段階によってワーカーにとって有用なものが異なることが判明した.依頼者にとって,最もコストのかかるコミュニケーションは,コメント・編集,Q&Aである.

まとめスライド

CleanShot 2022-04-28 at 09.19.00.png (231.4 kB)

感想
  • フェーズによって有用なコミュニケーション手法(メカニズム)が異なる点には納得感がある.文章執筆タスク以外のタスクにおいても,別のメカニズムが必要になる可能性はありそうだが,応用できそうだと思う.

Dear Diary: Teens Reflect on Their Weekly Online Risk Experiences(from CHI 2016)

書誌情報

Pamela Wisniewski, Heng Xu, Mary Beth Rosson, Daniel F. Perkins, and John M. Carroll. 2016. Dear Diary: Teens Reflect on Their Weekly Online Risk Experiences. In Proceedings of the 2016 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI ‘16). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, 3919–3930. DOI:https://doi.org/10.1145/2858036.2858317

140字概要

10代の人々に2か月間,1週間毎に情報漏洩,オンラインハラスメント,性的な勧誘,不適切な表現を含むコンテンツを見る,などの207個の個別のリスク体験の報告してもらい,質的な分析を行った.その結果,インタ―ネット上でリスクが低い体験をすることで,リスクを回避するスキルだけでなく,衝突を解決する,といった対人関係スキルが発達することが分かった.

まとめスライド

Dear Diary_ Teens Reflect on Their Weekly Online Risk Experiences.png (158.0 kB)

感想
  • 分析結果によると,リスクを体験した方がリスクを回避するスキルが発達するとあったが,それは日記書くというをタスクが要因としてあるのかどうかが気になった.

Understanding Echo Chambers in E-commerce Recommender Systems(from SIGIR 2020)

書誌情報

Yingqiang Ge, Shuya Zhao, Honglu Zhou, Changhua Pei, Fei Sun, Wenwu Ou, and Yongfeng Zhang. 2020. Understanding Echo Chambers in E-commerce Recommender Systems. Proceedings of the 43rd International ACM SIGIR Conference on Research and Development in Information Retrieval. Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, 2261–2270.

140字概要

購買行動において、エコーチェンバーが存在するかAlibaba Taobaoのデータ分析を行った。アクセスログから推薦アイテムをよく見るユーザと見ないユーザに分け、閲覧/クリック/購入のログを分析した。ユーザの興味関心の偏りがエコーチェンバーによって高まったとしても、購買に繋がるまでの嗜好変化は表れない可能性があることが分かった。

まとめスライド

Understanding Echo Chambers in E-commerce Recommender Systems.png (165.0 kB)

感想
  • クリック行動においてエコーチェンバーが見られることは予想していたが、購買行動には繋がらないことは意外だった。嗜好は偏るかもしれないが、案外行動への影響は私たちが考えているほど出ていないのかもしれないと思った。